夫々の役割。山は、まだ下りていない。
手作りのルーン。まだ独立するずっと以前に、占い師の先輩が作ってくださったものです。熱心で品の良い指導がお客様にも後輩にも人気の先生でした。
よく使って少し文字が擦れてしまったのもあります。しばらくしまってあったのを、近頃また取り出してきて、通勤バッグに入れて持ち歩いています。ぎゅうっと詰まってしまうので、ルーンのカミサマは嬉しくないかもしれないけれども(堪忍!!(゚ー゚;
今日は(もう昨日ですネ)、また、別の先輩にお礼のお手紙を、ウンウン唸りながら^^書いていました。やはり、以前、占い館に勤めていたときに親切にしていただいた先生で、よく学ばれた方でありながら謙虚で温かいお人柄が信頼できました。あるときは、玉子をパックでいただきビックリありがたかったことをときどき思い出します。その方からしたら、30代のわたしはまだまだ心配な子供のようなものだったのかもしれませんね。
ご無沙汰していてなんとなく言い出しかねていて、今年の年賀状で教室などやっていることをやっとお伝えしたところ、「遅くなったけれど」と、お祝いのお便りをいただいたのです。
周りの方々のお世話でご自身大変な中、僅かな縁の後輩へのお心遣い、大変ありがたく感じられました。
いただいたお手紙にあった言葉、「世界中が苦難の中、夫々の役割が必ずあるはずですから、まず足元から出来ることをしていきましょう。」という言葉、本当に、と思い、このように考え言葉を贈ってくれる(このような業界の)先輩がいることに、改めて励まされる思いでした。
この人には人格でかなわない、と思えて指針にできる人たちがいるということは、心強いもの。そうでない人たちには屈しませんけど、かなわない人たちはいつまでもそこにいて、元気で活躍していていただきたい、と、そう願っております。
人は、言葉を贈ったり、受け取ったり。かたちのない交換に支えられて現実を生きているのかも。
「山は、まだ下りていない。登っている。」
これは、たまたま、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」を見ていたときに、耳にし眼にして、心に刻んだ言葉です。「言葉のチカラSP」篇、見た方はご記憶でしょうが。
訪問看護師のプロフェッショナル、秋山正子さんが、かつて、がんで余命3か月と診断された桃川弘二さん(46歳)から受け取った言葉。月日が過ぎても話をしてくれない桃川さんが気がかりで、登山好きと知り、「そろそろ山を降りているんだから、荷物を下ろしたら?」と話題を向けたところ、初めてはっきりと返ってきた言葉が、
「まだ、山は下りていない。登っている。」
それから数日後に桃川さんは亡くなられたのですが、言葉は残り、秋山さんのその後の人生観、職業意識を変えたのでした。
人は強い。どんな人にもそれぞれの最後があり、この患者は周りの人が思うようにはあきらめてなどおらず、今も強い気持ちで病と闘っているのだと気づいて。
「まだ、下りていない。登っている。」
桃川さんの姿が消えても、言葉は残る。まったく縁のないわたしのところにも、届いてきて、折々に思い出されて励みとなります。
そういう言葉を伝える人たちの役割もまた、苦しい時代には特に大きな「夫々の役割」なのだということ、報道に携わる方々に改めて肝に銘じていただきたいとも思ったことでした。
…無理にはがんばらなくていいから。そのままで、登っていることなんだから。
さて、また一週間、マイペースでまいりましょうね。
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