よろしく前頭前野、正義中毒と希望
今年の春は特別な春になりましたね。
人間どもの右往左往に関係なく、花は咲き、風に揺れて散り、また来る季節まで眠る。いつも通り。いにしえの歌人のように、はかない歌でも詠めるといいんですけど(-.-) 人間は感情があるから大変つらいですけど、自分にとって大切なことは何かを考えられる機会かもしれません。と、言ってみる。
非常時になると勢いづく人間もいて。ここぞとばかりに、SNSで著名人や文化人を匿名で叩いたり、頑張ってくれている医療関係者やドラッグストアの店員さんに心ない言葉を投げつけたり。そんな人を目にしたわたしも思わず「〇ね」なんて言葉が口から出そうになり、ハッとする。
新型コロナウイルスよりも怖いのが人間よな、と感じる今日このごろ。よい本を読みました。脳科学者、中野信子さんの「人は、なぜ他人を許せないのか?」(アスコム)
ほんとうは、人はみな別々。色々な考え方を持っている。
何を言ってもいいはずです。(礼儀さえあれば)。
異なる考えと考えを戦わせて、本質に迫ることができたり、問題解決に有効な手法が見つかったりすればすばらしい。
考え方の「多様性」を維持することは、種の保存的観点から見ても有効と、中野さんは書かれています。
なぜかというと、それまでの社会環境が急に変化したときに、すべての人が同じような考え方だと、皆が変化に耐えられず、もろ倒れして滅んでしまうかもしれないから。
世の中が変化すると、「今まで適応していた人たちが生きづらくなる代わりに、それまで外れ者であった「変わり者」や「圏外にいる人」が適応できるように」なると。
だから、「種を継続させていくためには、ある程度の多様性を確保しておいた方が、健全で安心」だそうです。
でも、日本では、個人の多様性よりも、集団の結束が重要視される傾向でしょう。非常時になると、特に感じます。単独行動好きでキレイゴト言っているわたしなど、「この非国民」とかすぐ言われそうですよ(^.^)
先日、田舎の実家へ用事で!帰省したときも、「コロナ第一号になりたくない(そんなことにでもなったらご近所様に顔向けできない)」という空気をひしひしと感じました。良い悪いではなくて、そういう国民性ですよね。
(日本で)「集団主義的要素が強い集団が生き延びやすかったのは、災害の多さという地理的要因が大いに影響しているのではないか」と、中野さん。
幾度となく襲う災害に耐え、復興するには、皆で力を合わせていくしかありません。
また、ひとたび自然災害が起きて飢饉にでもなれば、100万人単位で亡くなるような、ギリギリだった食糧生産事情も影響しているだろうとのこと。
一人で生きていくことはできなくても、協働すれば困難を乗り切って生きのびる確率が上がる。
そうした状況では「個人の意志よりも集団の目的を最優先する人材が重要視されることはごく自然」。日本の組織では「自分の頭で独自の理屈で組織の論理とは異なることを考えたり主張したりせず、集団の決定に素直に従える人間を重宝してきた」と。なるほど。
これに対して、独自の考え方をする、脳の「前頭前野」がよく発達している人は、組織では「頭ばかりよくて使えない、面倒くさい人」と思われてしまう傾向。「余計なことは考えず、指示や命令に即対応できる人の方が、現場では便利」らしい。
前頭前野とは、前頭葉の前部にあり、自分の行動を直視して、自分を制御する一連の流れをつかさどっているそうです。
この「前頭前野」って四文字熟語みたいな言葉自体が、無駄に妄想力豊かなわたくしの脳内で、最近ユートピアのように広がっております。
しかしながら、結局のところ「人は、本来は自分の所属している集団以外を受け入れられず、攻撃するようにできて」おり、人間の脳は、誰かと対立するようにできているそうなのです。がっくり。
特に「日本人が議論だと思ってしていることは、対立する二つの意見を吟味・検討してより良い結論を導くというものなどではなく、なぜかたいがい人格攻撃に」なり、
「まるで相手はバカだ、相手よりも自分が優れていると証明するための言葉による殺し合いのようなもの」になる傾向。
芸能人の不倫問題など、(自分と関係ない人のことなのに)「絶対許せない!」「不謹慎だ!」と、どうしてそこまで固執するのかと感じていたけれども、(かなしいかな、わたしも正義中毒気味になってしまうことありますけども)それは、なぜかというと、
「正義中毒」になると、脳内にドーパミンが出て⤴気持ちよいんだそうです。
「自分の属する集団を守るために、他の集団を叩く行為は正義であり、社会性を保つために必要な行為と認知されます。攻撃すればするほど、ドーパミンによる快楽が得られるので、やめられなくなります。自分たちの正義の基準にそぐわない人を、正義を壊す「悪人」として叩く行為に、快感が生まれるようになっているのです。」
「「ヘイトだ」「ヘイトじゃない、お前こそヘイトだ」と言い合っている状態は、いわば互いにドーパミンを出し合う状況を提供しあっている関係とも言えるわけです。「つぶしてやる」と言いながら、本当につぶれられたら困ってしまうのです。はたから見ているとほとんどコントのようで滑稽ですが、本人だちは大真面目にやっているのです」
コントという例え方が面白く。
ところで、わたしのところも、4月は開店休業? 震災時よりもシビアかも、と想像します。とはいえ、やろうと思えば、電話鑑定、オンライン講座も、新しいテキスト作成などもできるわけで、す、が…。
新しいことをやらなければと考えると、ちょっと億劫になってしまうのが、脳の老化かもしれません(-.-)💦
中野さんによると、「老化によって前頭前野の働きが衰えると、どうしても新しいものを受け入れにくくなっていく」そう。
いわゆる、キレる老人の原因もここにあるらしい。
老人になると脳味噌が保守化する。「自分の持っていた思想の傾向が、より純化され」「さらに思考が硬直化して」「所属している集団の論理しか受け付けなくなってしまう」。…老人に限ったことではないような気もしますね、前頭前野が早めに委縮する人もいるのか(-.-)
非常に困りますわね。でも、前頭前野の老化を遅れさせ鍛えることは可能だそうですよ。
オメガ3脂肪酸(青魚やナッツ等)、睡眠、慣れていることをやめて新しい体験をすること(いつもと違う道順、いつもと違うメニュー等)が効果的だそうです。お試しあれ?
わたしはテレビを余り見ないので、この本で初めて中野信子さんを知ったのですが、
この本で、脳は種の保存のために賢くなりすぎないようにできていると知って、がっかりすると同時に、その一方で、ホンワカと?慰められる心地がしました。それは、下記のような言葉に触れて、親和感を覚えたからだと思えます。
「私が本書を通して伝えたいのは、ああでもなくこうでもない、そうも言えるし、こうも言えるけれど、結局人間が好きで、考えることは楽しい、ということ」。
(正義中毒を乗り越えるカギは、まず前提として)「人を許せない自分や他者、相手を馬鹿にしてしまう自分や他者の愚かさを人間なのだからしょうがないと認めること」。
…読書っていいですネ、わたしはもっぱら風呂読書なんですけど(-_-;) 冷静であろうとする他者の思考に触れると心落ち着く。
最後に、わが国初めてのノーベル賞を受賞した物理学者、湯川秀樹センセイのお言葉を(^.^)
昭和十一年の文章ですが、今読みましても、色あせないというか、人間、変わりませんねぇ、と感じて、
それと同時に、このように仕組みを解き、「希望」という言葉を持つ科学者の存在に、励まされます。
科学者、文学者、芸術家、道化者(^^)を敬い育てない世界に未来はないと思えます。
そして庶民。庶民がいなければ、権力もまた存在し得ないことを、”真の”権力者は知っているはずでしょう?
「未開人は日食があると何か地上にも凶事が起こるだろうと驚き恐れた。
われわれはこれを滑稽だと思う。われわれは遠い遠い彼方にある太陽が、同じく遠方にある月の背後に隠れる時刻を、何年も前からきわめて正確に予知することが出来る。
しかしわれわれはしばしば自分の身の上に何が起こるか、その瞬間まで知らずにいることがあるという点においては、未開人とあまり選ぶところはない。
学問が進歩すれば何でも予知し得るようになるであろうか。近代物理学は、未来のことははっきりとわからないのが本当だという。
そうだとするとわれわれの未来に対する冒険はいつになってもなくならないと覚悟せねばならぬ。しかしそこにこそ希望があるわけである。
(湯川秀樹著「目に見えないもの」講談社学術文庫より「日食」部分 *太字改行処理はヒトオ)
見えないコトに翻弄される日々ですが、程度の差はあれ誰もがしんどい。助け合う気持ちで乗り切りましょうね。…そんな世の中をいつかは見られるといいな、夢? キレイゴトを誰も言えなくなった世の中は、消えてしまうかもしれないから。
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