励ましの言葉に心宿る?宿らない? 映画「活きる」に寄せて
晴れたり揺れたり雷鳴ったり、自然もお忙しいご様子ですが、皆さま、GWいかがお過ごしですか。
緊急事態宣言期間中の都下、わたしのところは、引き続き新型コロナウイルス感染予防を心掛け、休みを多めにとりながらも通常業務に努めております。
なにごとも油断してはいけないけれども、
お願いお願いされる一方で、政治家、官僚の方々の動向、国外からの入国状況を知れば、説得力を感じられず、
少しは気分転換しとかないと、これからまだ長丁場になりそうな状況で「我慢我慢」だけでは心が死ぬ、それを防いで生き延びねば、というような防御思想になりつつあります。
そんなわけで積極的映画生活。Amazonプライムビデオにチャン・イーモウ監督の「活きる」(1994)が出ていたので見ました。
1940年代から60年代、中国共産党と中国国民党の内戦から、毛沢東指導下での大躍進政策、文化大革命へ続く激動の時代に翻弄されながら、どんなことがあっても生き抜いていく、市井の人びとの悲哀とおかしみを描いてすばらしく、かなしいけれども慰められるのです。
麗しきヒロイン「家珍(チアチェン)」を演じたコン・リーさんがいなければ地味すぎてなりたたないかもしれませんがm(__)m 本来の主役は、賭博で家屋財産すべてを失った地主のボンボン、ダメンズ夫「福貴(フークイ)」を演じた葛優(グォ・ヨウ)さん。なにも演じていない普通の素人の人間を演じるのがおそろしくうまい人です。
ダメンズ「福貴」が、激動の時代に柳の枝のようにしなり沿い、危険を避けたり禍に激しく打たれたりしながらまたしなり、生き抜いていく、その知恵とあきらめ、弱さと強さ、庶民のしぶとさに、感情移入してつらくなったり慰められたり、
元ダメンズ福貴が、だんだん頼もしく見えてくるのです。
「何が起こるかわからない世の中」。今まで地位の高かった人が一転、批判され人民裁判にかけられ弾劾されたり自殺においやられたりした時代。
変化の時代には、かたくなな人はもろい、柳のような人が案外、強いのかもしれない。
なかでも、何度も繰り返し見てしまうシーンがあります。
元ダメンズ福貴にとって、ともに死線を乗り越えた相棒でありながら、出世して、自分の一人息子を車の事故で死なせた許しがたい「春生(チュンション)」と、最期の?言葉を交わす場面です。
…文化大革命の下、資本主義のレッテルを貼られて失脚、妻も自殺し、絶望した「春生」が、ある夜、福貴の家をこっそり訪ねてくる。
そして、「(福貴の息子のことは)今も悔やんでいる。何度、金を送っても断られていたが、今日こそはこの通帳を受け取ってくれ。受け取ってもらえたら思い残すことはない」と、福貴に財産を渡そうとする。
元ダメンズ福貴はハッとして、変わり果てた風貌のかつての相棒「春生」を励ます。
「気をしっかり持て」
「変な気を起こすなよ」
「とにかく耐えろ」
「自殺するなよ」と。
「もう死にたい」と涙する「春生」に、必死に言葉を続ける。
「それでも生きろ。」
「俺たちは死体の山から生還したんだぞ。いいな」
「つらい気持ちはわかる。それでも何とか我慢しろ。耐えぬけ」
ただ口先で「我慢しろ」と言っているのではないのです。
「福貴」自身が、ダメンズからスタートし、絶望や悲惨な出来事を耐え抜いて我慢して生き抜いてきた人だとわかっているから、見ている者には、その言葉に心が宿って感じられるのです。
好きな映画や小説、音楽などは、娯楽にとどまらず、折々に励ましをくれますね。
先日、アップリンク渋谷で見てきた映画「JUNK HEAD」の世界観にも、「活きる」とはまた違った励ましを得たのですが、それについては機会があれば…。
コロナ禍の影響かご時勢か、アップリンク渋谷は5月で閉館するそうです。
…毎度毎度料亭で会食せずにはいられない人々の多くが、「映画見なくても死ぬわけじゃない」「絵なんて見なくたって、寄席や古本屋なんて行かなくってもいいだろう、国民の健康のほうが大事だろう(あるいは、オリンピックが大事だろう)」と思うのかもしれませんけど。そりゃ、命が大事ですよ。
「活きる」の主人公は、特技の”影絵人形芝居”で、命をつないでいました。
興行で実際にお金を得たのはもちろんのこと、その技術があったことで戦場で命拾いし、また、影絵芝居に憩う兵士や庶民、様々な人々の様相に触れる体験を重ねることでも、元ダメンズ福貴の心が養われていったのではないか、と、わたしには感じられます。
状況変化が油断ならない厳しい生活の中でも、人々は影絵人形芝居を楽しみ生活し、死と隣り合わせの戦場の兵士も、物語世界に慰めを得て、その瞬間生きていた。
文化ではお腹はふくれないけどね。
普段から文化に触れていると、土壇場での心の耐久度が違うのではないかと思うことはあります。
結論はありませんの、今日は徒然なるままに。
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